何気ない休日。たっぷりと惰眠を貪ったあとはゆっくりと起きて遅めの朝食を取る。
外は青空が広がっていて気持ちいい。もうすっかり秋の陽気だ。
家族は平日で学校や仕事に出かけてる。こんな気持ちのいい日になんてもったいない。
トマトとモッツァレラチーズを挟んだフランスパンにマンゴーがたくさん乗ったデニッシュ。最近見つけた小さなパン屋さんのお洒落なパンたち。豆から引いたコーヒーを口に運びながら遅い一日の始まりに特別な演出をして自分に酔いしれてみる。

さて、今日はなにをしようかな？
鼻腔をくすぐるコーヒーの香りを楽しみながらふと考えた。やりたいことはたくさんある。先日届いたパソコンソフトのセットアップがまだ済んでいない。昨日も結局、深夜までパソコンをいじっていた。あれを早く終わらせなければ……。
しかしせっかくここまでお洒落な演出をして天気もいいのに、結局やることがいつもと変わらないパソコン弄りでは「花の20代女子」の名が泣く。
手元のケータイをタップして向こう一週間の天気を確認してみたところ、どうやら雨は降らないらしい。

よし！今日は洗車しよう！！
そうと決まれば早速行動あるのみ。汚れてもいい服に着替えて車を駐車場の中央に移動する。
あれ？これって休日のお父さんがやっていることと変わらないような……。
いや、そんなことは考えては行けない。これは「花の20代女子」の休日である。

いつもより念入りに洗車をしたところで妹が帰ってきた。
これからどこか大型ショッピングモールへ買い物に行かないかと提案してくる。真夏の暑さはとうに過ぎ去っていたがずっと動き回っていたせいか汗でベタついて気持ち悪い。化粧をするのもめんどくさい。この状況でショッピングなど到底考えられない。
ショッピングよりも温泉へ行くことを提案し、そうすることとなった。
何度も言うが「花の20代女子」の休日である。

温泉まで1時間ほどのドライブ。洗車したての車で林道を飛ばすのはとても気持ちよかった。
渓谷の合間にある露天風呂で一日の疲れ（といっても洗車しかしてないが）を取りながら、夕方から夜に変わっていく空を眺める。平日ということもあってか温泉はとても閑散としていた。2組の中年女性が出て行ってからは露天風呂には私と妹しかいなくなっていた。
温泉独特の成分でぬるりとするお湯を肩に掛けながら妹と語るのはひたすらボカロとアニメの話。特にボカロは自分がはまっていることもあってか尽きることがない。ここまでコアな話ができるのも妹ぐらいだろう。
これでも「花n……ry」

温泉に浸かっていると突然バケツをひっくり返したような雨が降ってきた。ゲリラ豪雨というやつだ。
せっかく洗車したのに……。何度も何度も嘆く私に向かって妹は「ざまぁ」としか言わなかった。妹はよっぽど歩いて帰りたいらしい。
帰る途中も何度も水溜りにはまった。これでは雨を降らせるために洗車したようなものではないか。なのに家に着くと地面は全く濡れてい。ゲリラ豪雨は温泉の近くだけだったらしい。これでは雨を降られるためにドライブにry

家に帰ってからはパソコンを立ち上げ途中だったセットアップに勤しむ。これが「はn……ry」

※この小説（？）はフィクションであり実在の人物団体とはなんの関係もなくもなくないけど、一応ありません。